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「ねぇ、君さ」
少し掠れた、低い声だった。
「は、はい」
上から覗き込まれる。切れ長の目がすぐそこにあって、距離が近すぎることに気づいた。
だけど、足が動かないというか・・・。蛇に睨まれた蛙はこんな心境だったんだな・・・。
切れ長の目が、赤く光っていて。
え?赤?この人目が赤いの?
見つめ返してみれば、その瞳は確かに暗い赤がかかっていた。
外人さん?いや、でも顔立ちは日本人だよ?髪は真っ黒だよ?
この時代にハーフの人っていたっけ・・・?
どれくらいそうしてたんだろ?
もう頭では、あー、早く帰らないと、お菊さんに怒られる。とか、今日の晩御飯何だろなー、とか。とにかく現実逃避をしていた。
「ねぇ」
「はいぃぃぃっ?」
いきなり声をかけられて、心臓が飛び上がる。いや、体も一緒に跳ねた気がする。
寿命縮んだかな・・・。
頭を現実に戻して、次の言葉を待つ。
「君さ、
俺のこと見えるの?」
・・・はい?
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