2#嫌いな理由

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 クンカクンカ・・・  クンカクンカ・・・  俺は、地面に微かに残ったイノシシの匂いをひたすら延々と探っていた。  このイノシシの匂いの行き着く先・・・農作物を食い荒らしたイノシシを見つけてしまえば、御主人が猟銃でズドンして殺すんでしょ?  イノシシだって、生きていく為には何か食べなきゃならない。  況してや、イノシシはひとの売り物を食ったという事なんて全く解らないし、それは人間の都合なのに・・・  しかし、自分は一応『猟犬』なので・・・『猟犬』だから・・・・何も悪い事してない自覚が解らないイノシシを葬る事を・・・したくないのに・・・!!    この、『猟犬』として生きてきて不可解な怒りの矛先は何処へ持っていけば良いのか・・・?  やはり、この殺戮しか考えていない冷血ハンターの御主人か?  俺は、その残虐行為の手助けをしてるのか・・・?!  どかっ!!  「おい!!何ボケーっと突っ立ってんだ!!早くイノシシを探せ!!」  また、御主人の怒号だ。  こいつは俺に叱咤ばかり。  それに変な言い掛り付けては、  「今日はお預けだ!」  と、ろくに飯を与えてくれない。  今日で3日連続『お預け』だ。何もドッグフードどころか、水でさえ与えてくれない。  毎日、地面の土ばかり食って飢えを凌いでいる。  俺は、この御主人にずっと付いていくのか?  もう一度確認する。  人間どもがイノシシを嫌う理由は、農作物を食い荒らすから。  御主人様に狩猟で殺されてきた他の動物達が嫌われてる理由も・・・  そして、俺が御主人から嫌われる理由は・・・  解せぬ。  どがっ!!  「何同じ所をグルグル回ってるんだ!!このボケ犬!!ブッコロスぞ!!てめえ!!」  何度俺を蹴れば済むんだ・・・御主人様は・・・  その瞬間、俺の1つの憎悪の感情がどんどん膨張してきた。  俺が・・・!  御主人を・・・!!  嫌いな・・・!!!  大嫌いな理由は・・・!!!!  
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