修理

4/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「雷蔵さま。お支度に時間がかかり過ぎです。外では原田さまがお待ちしておりますよ」   「ああ……今、行くよ」  アンジェがリーダーで、マルカも、水色が基調のカジュアルスーツの20代の綺麗な女の人だけど、でも、実は。軍事用アンドロイドなんだ。    ぼくの家は云話事帝都マンションの34階から66階で、相棒の原田は同じマンションの67階にいる。 「ピンポーン! 雷蔵さーん。まだですかー」 「あ、ああ。すまない。考え事をしていたんだ」  玄関先から原田が痺れを切らせて声を掛けてきた。  昨日の夜に河守とシン・トウキョウ・シンクロニシティを走り回ったけど、家に着いたのは、朝の5時だったせいもあるかな。  でも、ぼくには気分の起伏がない。  いや、疎いんだ。  気分には。  その証拠に滅多なことでは、気分は変化しない。  美味しいハンバーガーを食べる時も、どっと疲れた後に入浴する時も、気分はいつも通りだ。  でも、河守だけなんだ。  気分が弾んだり沈む時があるのは……彼女の顔を見ている時だけ。 「ピンポーン! ピンポーン!」 「うん。わかったよ。すぐに行くよ」  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!