プロローグ

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 闇夜を突き抜けて、ランボルギーニ・エストーケはネオン溢れる夜のシン・トウキョウ・シンクロニシティを走っていた。  シン・トウキョウ・シンクロニシティはB区にある超有名な観光地だ。元は東京の新宿から銀座までを大区画整理した場所だった。  大型観光地としても有名なカップルにとっては憧れを通り越して、飛び切りの一生に一度はどうしても行きたいデートスポットだ。  ランボルギーニ・エストーケの後ろには、可愛い犬の絵が塗装された軽自動車が快走していた。 「ねえ、夜鶴さん。こんなところどうして知ってるんですか?」 「ああ。田場さんに聞いたんだ。丁度、田場さんも新婚旅行でここへ来たんだって」 「すごいですね。あ、確かB区出身でしたね。田場さんって、それはさぞかし素敵な夜を過ごせたと思います」 「あ……ああ」 (ほんとは、田場さん。気持ちに金が追いつかなくて、夜景を見て回っただけだって泣きながら言っていたな)  
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