プロローグ

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 その軽自動車の前を走る高級車ランボルギーニ・エストーケでは、最高級シャンパン片手の河守がドギマギしている。 「あのね。矢多辺さん。夜景がとても素敵だけど、なんていうか。私、どうしていいのかわからないの」 「へ? あははは。どうしてだい?」 「この後よ。この後」 「いいバーを知ってるんだ」  「そう。なら、いいわ。もう酔っちゃったけどね」  ランボルギーニ・エストーケと軽自動車はまるで幸せを競うかのように、道路を快走していた。  両端の建造物はどれも昔のままだというのに、厳かで鮮やかな超高層ビルやタワーマンションがネオンで照らされ、時代を感じさせない色とりどりのイルミネーションで飾られていた。    河守は二ッと笑って、シャンパンを飲み干した。  
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