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「雷蔵さま。お支度に時間がかかり過ぎです。外では原田さまがお待ちしておりますよ」
「ああ……今、行くよ」
アンジェがリーダーで、マルカも、赤色が基調のカジュアルスーツの20代の綺麗な女の人だけど、でも、実は。軍用アンドロイドなんだ。
ぼくの家は云話事帝都マンションの34階から66階で、相棒の原田は同じマンションの67階にいる。
「ピンポーン! 雷蔵さーん。まだですかー」
「あ、ああ。すまない。考え事をしていたんだ」
玄関先から原田が痺れを切らせて声を掛けてきた。
昨日の夜に河守とシン・トウキョウ・シンクロニシティを走り回ったけど、家に着いたのは、朝の5時だったせいもあるかな。
でも、ぼくには気分の起伏がない。
いや、疎いんだ。
気分には。
その証拠に滅多なことでは、気分は変化しない。
美味しいハンバーガーを食べる時も、どっと疲れた後に入浴する時も、気分はいつも通りだ。
でも、河守だけなんだ。
気分が弾んだり沈む時があるのは……彼女の顔を見ている時だけで……ぼくは……。
「ピンポーン! ピンポーン!」
「うん。わかったよ。すぐに行くよ」
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