スイカひとかけ分の距離

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スイカひとかけ分の距離

「あー!そっちのスイカのほうが大きい!」 「へへっ、いいでしょ。少しあげようか?」 縁側でならんでスイカを食べた、あの夏の日を、私は今でも覚えてる あのころの私たちは、いつも一緒だった 「もしもし?」 「どうしたの。なんか、すごくつかれてるけど」 「わかる? なんか、最近、全然うまくいかなくてさ、」 「ふーん、それなら、久しぶりにこっちに顔だせば?」 「うーん、じゃあ、今度の休みにちょっと寄ろうかな。」 「了解、おばさんたちと待ってるよ。」 私が上京して、あれから、もうずいぶんと会ってないけど、 こういうとき、頼りたくなるのは、いつだって同じ顔で 「ただいま~…」 「おかえり、スイカ食べる?」 数年ぶりに帰った実家には、すっかり大人になった、きみがいた でも、いたずらっ子みたいに笑うその顔、やっぱり、全然変わってないね
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