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唐突かもしれないが大事なことだから言っておこう。
僕は残念な雨男だ。
どれくらい残念かというと、この前の入学式や体育祭とか修学旅行みたいな行事の日に雨を降らせてしまうのだ。
この前の入学式が雨だったのは僕のせいです。
本当に申し訳ございません。
僕が先輩に興味を抱いたのも、もしかしたら先輩が晴女で僕が雨男であることが、もしかしたら関係しているのかもしれない。
ばんっ!
大きな音を立ててドアが内側から大きく開く。
僕はびくっとして後ずさる。
ドアを大きく開けて片手には何故か竹刀を持っていてポニーテールで、リボンを見るに二年生で、しかも生徒会の腕章をつけた先輩が仁王立ちしていた。
いや何だこれ怖すぎる。
「何だ一年生か。坊主、入って良いぞ」
と、生徒会の先輩は竹刀で奥を指す。
僕は坊主ではないと思いながらも、怖くて何も言えない。言えるわけない。
僕が怯えているのを見かねたのか、部屋の中から
「ほどほどにしとけ。怖がっているじゃないか」
と低い声が聞こえてきた。
その先輩のネクタイも青いので、二年生らしい。
「お、お邪魔します」
僕はそろりそろりと部屋に入る。
教室より少し狭いくらいの大きさだが、四つもある図書室よりも大きいんじゃないかというくらいの大きさの本棚が壁一面に立ち並ぶ。
本棚に入りきらなかった書物が積み重ねられていて、
本の森を形づくっている。
中央には部屋に合わない新品の会議室で見るようなテーブルが置かれていて、椅子は八つ。
いちばん手前の椅子には黒い髪を男子にしては少し長くのばしていて、男の僕から見てもイケメンだ。
文庫本片手に足を組んでいる。
そのイケメン先輩の向かい側には左右対称のツインテールの、二年生のはずなのに顔は小学校高学年にしか見えない、でも美少女な先輩がいた。
うーん、ロリコンにはモテそうだ。
そのロリ先輩は何故か水晶玉を前に占いをしている。
……そうだ。
確か、『天気・占い同好会』だったからだろうか。
そしていちばん奥の椅子に先輩が座っていた。
この騒ぎにもかかわらず、六法全書かと間違うほどの分厚い本を読んでいる。
うわあ、超美人。
スケッチブックを持っていたらすぐにでもスケッチを始めてしまいそうだ。
「えっと、先輩、ここは……?」
すると、生徒会の先輩が答えた。
「ここは、天気同好会と占い同好会が合併してできた同好会だ。さて、君はどちらに興味があるのかな?」
ここで、「そこの晴女だという先輩です」と答えられる僕ではなかった。
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