紺色の傘と先輩と

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僕は迷った。 ここでこの同好会に入れば先輩とお近づきになれるんじゃないかと。 でも、全員先輩だし、何か怖そうな人いるし。 先輩たちが見つめる中うーんうーんと唸った挙げ句、僕の出した答えはこうだった。 「も、勿論入らせていただきます!」 「わかったわ。でも、条件があるのよ」 そう言ったのはロリ先輩。 思ったよりも凛とした声だ。 「条件?」 「ええ。今回の試練当番は、水無月よ」 「はいぃ!?」 水無月、と呼ばれて立ち上がったのはさっきまで六法全書レベルに分厚い本を読んでいた、僕が一目惚れした晴女の先輩だった。 「い、いや、わたしには無理ですよぉ」 「つべこべ言わずにやるのよ」 「そんなぁ。ひどい……」 今にも泣き出しそうな先輩を見ていられなかったが、 先輩はロリ先輩の命令を受け入れたのか、しゃんと立った。 「で、では、わたしがいつも傘を持っている理由を当ててください」 「傘を持っている理由?」 「そうです」 「うーんと、亡き母の形見?」 僕はてきとーに答えたが、 「答えは一回だけです。ファイナルアンサー?」 「違います違います」 と返されてしまった。 「期限は一週間です。頑張ってくださいね」 とりあえず今日は帰る僕に先輩はそう声をかけてくれた。 僕のやる気が倍増したのは言うまでもないだろう。
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