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怪盗赤ずきん
「君は、もしかして、怪盗赤ずきんか!」
「あったり〜ぃ!やっぱりアタシのこと覚えててくれたんだ。さすがはアタシのダーリンだわ」
「悪いけど、ぼくは君みたいな犯罪者とは接点はないはずだ。それに、まだ君が本物の怪盗赤ずきんかどうかだってわからない」
「あら、いいのかな?そんなこと言っちゃって。せっかく次のターゲットを知らせてあげたのにな〜。ダーリンはスポーツ紙の記者をやってるんでしょ。これはアタシからの特ダネのプレゼントよ」
「君は何者なんだ?なんでぼくのことを知っているんだ」
電話の女はその質問には答えなかった。
「いっそのこと、ターゲットを変更して、ダーリンのハートを盗んじゃおっかな。なんてね。アタシはダーリンがそんな浮気性じゃないこと知ってるわよ。今でもアタシのこと思っててくれてるんだから」
この女。怪盗赤ずきんのリーダーを名乗るこの女がぼくのことを知っていることは明らかだった。
でも、ぼくにはまるで心当たりがなかった。
「とにかく、いいこと?次のターゲットは国立西洋美術館。ピカソの幻の赤の時代。こいつをいただくわ。ダーリンだけの内緒の情報よ。ちゃんと目を開けて見てなきゃダメよ」
そこで電話は途切れた。ぼくは慌ててコールバックしてみたが、この電話は現在使われておりません、のアナウンスが流れた。
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