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神宮球場
そもそも、どうして怪盗赤ずきんはぼくに連絡してきたのだろう?
小学校から高校までの卒業アルバムを隅から隅まで見返してみたが、思い当たるようなフシはなかった。
釈然としないまま神宮球場に到着し、いつものように取材をする。
やがて試合開始時間が近づき、東京ヤクルトスワローズのマスコットつば九郎が球場のモニターに映し出される。
時事ネタが得意なつば九郎が、さっそく怪盗赤ずきんちゃんをネタにして、大いにスタンドが沸いた。
スワローズの本拠地にもかかわらず、スタンドの半分以上がカープファンという状況を自虐的に皮肉ってもいるのだろう。
赤いユニフォームに赤い帽子を被ったカープファンの中に、怪盗赤ずきんがいるんじゃないかというジョークを飛ばす。
そう言われてみれば、日本で一番赤ずきんちゃんに近い格好をしているのはカープ女子だ。
そうこうしているうちに、スワローズとの3連戦が終わり、東京ドームでのジャイアンツとの3連戦が始まった。
怪盗赤ずきんちゃんの動きはなく、赤の時代は何事もなく国立西洋美術館での日々を過ごしている。
ぼくはカープの勝敗よりも赤の時代のほうが気になって、眠い目をこすって午前中は上野公園に通った。
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