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空に願う
今日は七夕の日、天気は毎年恒例の曇る夜空。
だが、七夕を楽しみにする者に、天気は関係ない。
近所でも笹を外に出す人間もいる。無論わたしの家も……
わたしは自分の部屋のベランダから外に出て、笹をそっと前に置いた。
笹には彩り豊かな飾りを施していて、見ているだけで七夕を味わえる。
さんかくつづり、わっかつづり、すいか……全てはわたしが作った。テスト勉強と同時進行だったから大変だった。
短冊にはこう書いた。
『両親とまた一緒に暮らしたい』
空では今頃、織姫と彦星が再会しているだろう。
二人が手を取り合い、再会の喜びを噛み締めているに違いない。
わたしの両親は、仕事の都合上で海外にいる。会えるのは月に一回でわたしに寂しい思いをさせないためか毎日のように電話をくれる。
現在は祖父母の元で世話になっているので、孤独を感じない。
だが、家族と離れて暮らしているので、寂しさは胸の中に膨れあがる。
織姫と彦星も年に一度ではなく、毎日会いたいと思うように。
わたしも両親と毎日顔を合わせて、話したいし、どこか旅行に行きたい。
わたしは曇り空に願った。来年は家族と共にいられるように……
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