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「ねー、ちょっと」
「……っ!」
突然かけられた声に、ハッと我に返る。
いつの間にか愛崎さんが振り返って私を見ていた。
「……あっ、な、なに?」
「なんか書くもん持ってない?あたし、筆箱忘れたみたいー」
「あ、ま、待って。あるよ。えーと、あ、シャーペンでいい?」
「……ありがと。あとで返すからー」
「う、うん。あ、そ、そうだ消しゴムもいる?」
「いいの?借りたらアンタの分ないんじゃない?」
「あ、だ、大丈夫。ふたつ持ってるから。あ、はい、どうぞ」
……緊張、するけど。
愛崎さんともう少し話せるかな。
「あ、あの、愛崎さん。あの、実は私も愛崎っていうの。あ、で、その……今まで同じ名字の人に会ったことなかったから。なんかうれしいなって……」
ドキドキしながらも精一杯の笑顔で話した。
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