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こうして新たなクラスでの高校生活は始まった。
最初こそ緊張していた私だけれど、日々が過ぎていくにつれ、仲のよい友達もでき平和にやっている。
ただ、私の前の席。
そこはいつも甘い香りがする。
担任の方針でみんながクラスになれるまでしばらくは席替えせずにそのままいくらしい。
なので私は変わらず前から二番めで、その前は愛崎さんだ。
始業式の些細な会話以来、私たちはマトモに話していない。
私はいわゆる地味なグループにいるし、対照的に愛崎さんはいつも派手で華やかな人たちと一緒にいる。
それなのに、私はいつも前に座る彼女を気にしている。
その茶色い髪を、派手な化粧を、細い手足を、意識せずにはいられない。
だって彼女は『愛崎』さんだから。
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