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「おーい、アンナー!」
休み時間。
教室の入り口で、男子が声をあげる。
愛崎さんと仲のいい『カズ』……木村くんだ。
「なによ、カズ」
「お前に客。ミキモトさん」
「は、誰?ていうか、何の用?」
「なんか委員会の連絡?愛崎さんいますかーってさ」
「!」
それって多分隣のクラスの三木元さんだ。
私と同じ美化委員。
ということは……
「あ、あ、あのっ……!」
私は慌てて立ち上がる。
焦ったからか声が上擦ったうえに、かなり大きくなった。
木村くんも愛崎さんも、他のクラスメイトたちもこちらを振り向いた。
「あのっ、あ、それ、は私のこと、かと……」
一瞬、しんとなる教室。
でもすぐに愛崎さんの『フッ』という鼻から出したような笑い声がひびく。
「聞こえた?〝あっち〝の愛崎さんだって、さ」
あっち、という言葉を強調したような話し方をして、私をあごで示す。
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