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「……なんだ、そっちかよ。つまんね」
木村くんは、途端に鬱陶しそうに息をはき、出入り口から離れた。
つまんね、って何が?
「あ、ごめん、ね……。ありがと」
私はなにに対して謝っているのか。
顔をひきつらせて笑顔を作り、三木元さんのところへ向かう。
その途中ちらりと愛崎さんを見たが、彼女はすでにこっちに背を向け、友達と楽しそうにおしゃべりをしていた。
足を組む仕草が妙に下品に見える。
笑い声がかしましい。
私のことを笑っているわけじゃないはず。
それなのに居心地が悪い。
「あ、愛崎さん!
あのね、美化委員の当番のことだけど……」
出入口には予想通り三木元さんが立っていて、予想通りの用件を話し始める。
なるべく平静を装おって聞くものの、心の中は今の一件でモヤモヤしていた。
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