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映画を一緒に観に行ってからというもの、晧月は事ある毎に俺を誘い様々な世界を魅せてくれた。
不思議なもので、今となってはその誘いが俺の日々の楽しみとなっていた。
あんなに嫌いだったのに。
きっかけは、分かっている。
彼女が浮気をしている場面に出くわしてから一方的に同族意識を持つ様になり、自然とプランナーとして彼に心開くようになったからだ。そして、知らぬ間に「苦手、もしくは嫌い」から「そうでもないかも」と思えるまでに気持ちが変化していたからだった。
そんな晧月は俺より4歳年上の32歳で、甘い物は苦手で俺同様恋愛映画が大好きであることを知った。
今の俺は、彼のことであればちょっとしたことであれば何でも知っている自信がある。
それだけ、彼とずっと一緒にいる。
気付けば、最近の打ち合わせでは彼女の姿を見掛けなくなった。
ずっと、晧月だけ。
同時に彼は、不思議と俺に何でもプランの希望を尋ねてくるようになっていた。
まるで俺が晧月と結婚するかのように。
あれだけ、彼女が我儘を通して決めた結婚式なのにそこには彼女の意見がほぼ反映されていない。
この結婚は、大丈夫なのだろうか――。
一抹の不安を抱えながら、晧月の結婚式を1週間後に控えた俺は、いつも通り待ち合わせ場所であるコーヒーショップへと向かった。
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