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「徳富様、いつもお世話になっております!弊社をお選び頂き大変光栄でございます。ご希望の日程で、お式を挙げさて頂きますね」 40代後半で社長へと就任したやり手上司は、頭を必要以上に何度も男へと下げると、そのまま俺にしか分からない様に鋭い眼光で睨みきかせ訴えてきた。 その様子を見た俺は、心の中で溜息を付きながら否が応でも世間の闇を感じ取った。 何度見ても予定でいっぱいであるスケジュール表を伏せた俺は、次の瞬間笑顔でこう言ったのだった。 「最高のお式になるようお手伝いさせて下さい」 「人気プランナーの腕にかけて」と言いたいところだが、とりあえずどちらに転んでも一寸先は闇しかない。 最低な男と俺は、こうして最悪な出会いを果たしたのだった――。
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