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「今日は、どっと疲れた……」
仕事終わり、俺は重い足取りで職場からすぐ傍にある行き付けのコーヒーショップへと足を運んだ。
気が付けば、夜の11時近く。
我儘な客のせいで、スケジュールの調整作業に時間を有しこの時間となってしまったのだ。
「いくら何でも金と人脈に物言わせるなんてサイテーだっ!サイテーすぎるから、今日は贅沢にホイップを増量する!」
元来甘党の俺は、「アラサーになると体型が崩れてくるぞ」という先輩からの脅しを真に受け、日頃から大好きなフラペチーノは特別の日のみと決めていた。
だが、今日のような必要以上のストレスが溜まった日は別だ。
最も、痩せ型の為体型なんて気にする必要は全く無いのだが。
この時間の高級ブランド通りは、既に店も閉まっているせいか人もまばらだ。
限定のフラペチーノを頼んだ俺は、そのまま6月の夜風に当たる為に誰もいない外のテラス席へと移動した。
甘いものを頬張る俺の身体を涼しい風が通り過ぎて行き、とても心地好さを感じた。
するとそこへ、一台の白い高級車がハザードを出しながら目の前へと滑り込んできた。
この辺では見慣れたドイツ製のスポーツカーだった。
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