赤の証明。

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赤の証明。

 モルタル造り、築40年の古い二階建てアパートの古風な和室にペタリと座る少女がいる。  季節は、初秋。  呼び名的には秋とはいっても、寝苦しい夜が延々と飽くことなく続くのではないか?と、つい錯覚してしまいそうになる今日この頃。  とくに陽射しの強い青空のもとで干したわけでもないのに部屋の熱気の為か、ヌクヌクと温もりを蓄えた夏布団の上に座している少女は、これから大事な作業をしなければならないのにそんな布団の上で黙々とコンビニで買ったおにぎりを食べていた。 「…ん、はむ♪ん、うん♪」  美味しそうに塩むすびを頬張る少女はいつもの癖で、ここ一番の大事な〝こと〟に及ぶ前は、何かしら気に入っている食べ物をいっぱい買い込んで一心不乱に食べる習性があった。  食べ終わった少女は一緒に買ってあった格安のお茶を半分だけ飲み、布団の上にに無造作に転がっている○○○に手を伸ばし、普段とかわらない柔らかい肉感を持つ“それに”触れた。
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