赤の証明。

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「…こちとら病気でHPゼロだぞ。殺す気か?」 「死ぬ気なんでしょ?なら、ちょっとくらいいいじゃん?」  じりじり和室に入り、中年男の横たわる布団に自衛隊で云うところの第二匍匐みたいな動作でにじりにじり、身動きが取りずらい男の傍に近寄る。 「やっぱりケガじゃなくて病気なんだね」  少女は中年男の地肌がのぞく纏まりの悪い髪の毛をなでながら言った。 「ああ病気だ。永くはないな」  男は答える。 「…死にたくなる病気で?」  少女の眼を直視できず、中年男は目を瞑り顔をそむけた。 「変な自殺を見るの、あたしは嫌だな。そんなの契約に入ってないモノ」  男の布団に手を差し入れパンツに触れる。 「勃ちはしないぞ」 「触って遊びたいだけ」  スルスル皮をむき鎌首を撫で愛撫をはじめる。毎日洗っているので恥垢はない。 「無駄さ」 「どうでもいいよ。そんなこと」  少女は愛撫をやめない。 「ねえ、あたし処女だと思う?」 「処女じゃないだろ?幾ら何でも」  さも当然と云った勢いで、余り感じていない男は伝えた。  
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