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「変な声♪」
突然弾けたように発せられた中年男の奇声と歳に似合わない仕草に少女はけたけた笑い、ご飯と焼いて頭から二つに切ったホッケと今日の朝仕込んでおいたキュウリの浅漬けを6枚、小口に切って小皿に盛って他の食物と一緒にお盆にのせて、甲斐甲斐しく二部屋あるアパートの中心部、この居間を空き部屋紹介のサイト掲載分と同じく《リビング六畳》と呼んでいいのかどうか、大いに疑問符が頭上に湧くが、それはそれとして、けば立った畳敷きの上に置かれた小さなちゃぶ台じみたテーブルの上に、コトリとお盆を置いて食器をきれいに並べることに少女は専念することとした。
狭い表面積のテーブルは、たったそれだけの作業で満杯になった。
「悪いね。ご飯の用意までしてもらって」
「気にしない気にしない契約だから♪それにまだ明日の朝の支度もあるからね♪楽しみにしてて♪」
「ありがとう」
居間のとなりの和室のペッタン子のせんべい布団の上で上半身を持ち上げた中年男は、食事と入浴とトイレと病院に通う以外は動きたくないらしく、少してっぺんが寂しくなってきた頭を下げて少女に礼を述べた。
「変なの♪こっちはただのバイトなのに」
「でも、有り難いよ」
「それよりバイト代、ちょっとサービスしてくれると嬉しいな♪」
わかったわかった。と苦笑いしながら、まるで芋虫みたいに這いずりながらテーブルの脇にヨッコラショっと座り、ずりずりと両足を器用にテーブルの下にいれた。
「入院したらいいのに」
「病院はキライでね」
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