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図星だった。
そうだ、いくらでも父の目を盗んで連絡しようと、会おうとすればできた。でも、怖くてやらなかった。
私が答えに詰まっていると、
「それが答えなんだね」
悲しげに眉を歪ませるとそれだけ言って、優一は背を向けて表通りに歩いて行こうとする。
私は言葉を発しようとしたが。引き留めて何か言おうとして、できなかった。
だって彼にとっては私が何もしなかったのは裏切りに近い行為だ。さっきの責めるような目がそれを実感させた。
街角に消えてゆく優一の姿をずっと目で追っていると、後ろから声をかけられた。
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