15人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
左腕が乱暴に動いた。
なぜそうしたのか理解するよりも早くハンドルを切り、派手にバランスを崩した車体が川の様になった路面を転がる。
俺は冷えたアスファルトの上をゴム人形のように跳ね、転がり、そしてガードレールに叩きつけられた。
ついさっきまで俺を乗せていた相棒も派手な音を立てて隣にぶつかる。
自分の体の痛みを確認するよりも先に俺はヘルメットを脱ぎ棄て辺りを見回した。
飛び出してきたんだ。真っ白い服を着た髪の長い女性が。
道を見る。
どうか誰も倒れていませんようにと思いながら、だがもしそうであればすぐに病院に運ばなくてはならない。
暗くてよく見えなかったから声を上げながら小走りに道を引き返してみる。
その時俺は気づいた。
俺がぶつかったガードレールのすぐ脇が途切れていた事を。
おいおい、カーブでこれはシャレにならないだろうと思いつつ興味本位で覗きこんでみたが暗くて何も見えない。もしここに落ちていたら・・・。
そう思うと俺は身震いした。
それは唐突な声だった。
最初のコメントを投稿しよう!