雨とうたう。

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学校帰り、あなたと帰る雨の中。 ひとつの傘のまんなかに、少し空いたふたりの距離。 ボタボタッ! 傘からはみ出たあなたの肩を冷たい雨が濡らす。 もう少し近寄ってみようかな。 ううん、今はダメなの。 私は彼が持っていた傘の柄を取り、わざと傘をあなたの方に傾けて差す。 どんどん濡れてく、あなたの肩。 いじわるかも。でもね、そんなびしょびしょのあなたに私はこう言うの。 「濡れちゃったね...。うちに寄っていかない?」 ほら、あなたは少し照れた顔で笑う。 いつもの雨の日。ちょっと幸せな、雨の日。
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