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好奇心は猫を殺す――。
ことわざの通り行けば
女王の好奇心は天宮和樹を殺すといったところか。
「これは霊障なんかじゃないわ。神が私の願いを聞き入れたのよ」
赤い舌を出す確信犯は
とびきり可愛らしい上目遣いで僕を見て囁く。
「あんたの母親があんたを破滅させるなんて最高じゃない」
優しく僕の頬を撫で下ろす指先。
思った通りだ。
人差し指のネイルがほんの少し剥がれている。
それでも不思議と怒りは湧いてこなかった。
こみ上げてきたのは僕の意思とは裏腹の笑い。
「甘いね。相変わらず――あんたはお嬢様だから仕方ないけれど」
「なんですって?」
「甘いんだよ、おバカさん」
「やっ……!」
油断しているところ。
手首を掴んで華奢な身体を壁際に押し付けてやる。
「逆だよ――あんたは僕に力を与えたんだ」
「ンッ……!」
憎しみの籠った瞳を見下ろしながら僕は衝動に身を任せた。
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