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しかし征司は大きく頭を振った。
「甘い――甘いよお義兄様。あんたは本来そんなに甘い人間じゃないはずなのに、こいつの事となるとどうしてまた――」
そこで一旦言葉を切ると
憎らしい気に笑って今度はキラに向き直る。
「血は争えないと言うよな?霊能者、おまえの見立てもそうだろ?」
「そうですね」
「やっぱりカエルの子はカエルなんだ。己の出生を呪おうが、親の悪癖を憎もうが、同じ血が流れているという事実は否定できない」
つまり僕には母と同じ
悪意の欠片もなく男を食い物にする血が流れている。
「それじゃ僕は救いようがないですね」
征司はそう言いたいんだ。
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