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顔を見合わせる間もなく征司が笑い声を上げた。
「こいつが変わるって?どうなるってんだ」
長年の諦めを孕んだ皮肉。
「だけどこの前だって——彼は変わろうとしたじゃないか」
苦い思い出を噛み締めるように
九条さんは声を絞り出す。
「たしかにな。真人間になろうとして何が起こったかは言わないさ」
だけどそれは輪をかけて王様を刺激しただけだった。
「これば僕の予想だけれど――お母様の情念が離れれば君には純粋な部分が多く残る」
それでもキラは性懲りもなく続けた。
「きっと君本来の姿に近づくことになるだろう」
「僕本来の姿……」
そんなもの知らない。
僕は首を横に振った。
「でも僕は物心ついた時からこのまんまの人間です」
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