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いい子になるために大惨事を起こしたのはつい先日だ。
キラはそんなこと知らないだろう。
だけどそれならば願ったり叶ったりだった。
「試してみたい。あなたの言う通りなら僕は――」
今度こそ変われるような気がした。
「和樹」
「止めないで九条さん。僕なら大丈夫さ」
今度こそ少しでも真人間に近づける。
これはチャンスかもしれなかった。
「いいでしょ?お兄様」
僕は念のため黙ったままの王様にも了解を取る。
征司は勝手にしろと言わんばかり
ただ黙って両手を開いた。
「いいって。僕からお母様の霊を切り離して」
「分かりました。そうすればお父様の霊が悪さすることも、この家で酷いトラブルが起こることももうなくなるでしょう」
キラは頷くと微かに微笑んだ。
「あなたももっと生きやすくなるはずです」
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