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僕は目覚めた。
ああ、目覚めたさ——いつもどおり。
日が昇ってからだいぶたった頃。
気だるく生ぬるいベッドで
幸運にも悪夢にうなされることもなく目を覚ました。
しかし僕がベッドから起き上がり
一番最初に目にしたものといえば——。
「おい、嘘だろっ……!」
鞘に収まっていない状態の小刀と
封を切られて犬の毛玉が飛び出した間抜けなお守り。
「なんでこんなことにっ……?」
しかしこの家じゃ
なんでこんなことにではなく
誰がこんなことをと聞く方が正解だ。
そして僕にこんな仕打ちをする人間と言ったら決まっている。
「あ……」
僕は小刀の鞘の上に小さな小さなビジューを見つけた。
そう、ネイルアートに使うようなものだ。
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