episode253 挑発

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僕は目覚めた。 ああ、目覚めたさ——いつもどおり。 日が昇ってからだいぶたった頃。 気だるく生ぬるいベッドで 幸運にも悪夢にうなされることもなく目を覚ました。 しかし僕がベッドから起き上がり 一番最初に目にしたものといえば——。 「おい、嘘だろっ……!」 鞘に収まっていない状態の小刀と 封を切られて犬の毛玉が飛び出した間抜けなお守り。 「なんでこんなことにっ……?」 しかしこの家じゃ なんでこんなことにではなく 誰がこんなことをと聞く方が正解だ。 そして僕にこんな仕打ちをする人間と言ったら決まっている。 「あ……」 僕は小刀の鞘の上に小さな小さなビジューを見つけた。 そう、ネイルアートに使うようなものだ。
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