episode253 挑発

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好奇心は猫を殺す――。 ことわざの通り行けば 女王の好奇心は天宮和樹を殺すといったところか。 「これは霊障なんかじゃないわ。神が私の願いを聞き入れたのよ」 赤い舌を出す確信犯は とびきり可愛らしい上目遣いで僕を見て囁く。 「あんたの母親があんたを破滅させるなんて最高じゃない」 優しく僕の頬を撫で下ろす指先。 思った通りだ。 人差し指のネイルがほんの少し剥がれている。 それでも不思議と怒りは湧いてこなかった。 こみ上げてきたのは僕の意思とは裏腹の笑い。 「甘いね。相変わらず――あんたはお嬢様だから仕方ないけれど」 「なんですって?」 「甘いんだよ、おバカさん」 「やっ……!」 油断しているところ。 手首を掴んで華奢な身体を壁際に押し付けてやる。 「逆だよ――あんたは僕に力を与えたんだ」 「ンッ……!」 憎しみの籠った瞳を見下ろしながら僕は衝動に身を任せた。
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