episode253 挑発

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シャワールームの扉が開く。 洗面所に充満した湯気がすぐに鏡を曇らせた。 「悪霊払いは失敗だったみたいだな」 裸の僕を一瞥するや 髪から雫を滴らせたまま落ち着き払った声で征司が言った。 「ま、はなから期待はしてなかったが——」 こちらに近づいてくる。 熱い胸板は僕の鼻先すれすれ バスタオルの棚に腕を伸ばした。 「もうシャワーから出るの?」 「出るよ。ダメか?」 わざと僕を無視して バスタオルで髪を拭きながら征司は鏡の前に立った。 「ダメじゃないよ。でもね、征司――」 目覚めた本能が真っ先に向かった先が この人のところだったことに僕は自分でも少なからず驚いていた。 「征司?」 「気になる?」 「いや」
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