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後ろに回り込みまだ濡れた身体に両手を回す。
鏡越しに目を合わせると髪を拭く征司の手が止まった。
「なんだよ?発情して裸でバスルームに忍び込んできたってわけか?」
意地悪く鼻で笑う。
よく知っている兄の顔。
「違うよ。そんなワケじゃない」
今度は見上げるようにして直に目を合わせ僕は首を横に振った。
「だったら何だ?何が欲しい?」
あくまで冷淡に歪む唇。
大きな手に僕は指を絡める。
「朝起きたら、あの霊媒師の言う通り、除霊が成功していたみたいなの」
「それで?」
征司は諦めて僕に身を任せることにしたようだった。
「それでね、僕は真っ先に征司の所へ来たんだ」
絡めた指を口元に誘い僕は唇に触れさせる。
「それをどう解釈しろと?」
指先からだって感じる――。
明らかに征司の鼓動が早まった。
「分かんないの……それは僕にも……だけど」
言うと赤く熟れた果実に穴をあけるように
僕はそっと征司の人差し指を口内に招き入れた。
歯先を当てないよう優しく吸って
2度3度——抜き差しする。
「僕、前よりずっと素直になったみたいなの」
鏡に映る僕の顔には恍惚とした赤みが差した。
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