episode253 挑発

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後ろに回り込みまだ濡れた身体に両手を回す。 鏡越しに目を合わせると髪を拭く征司の手が止まった。 「なんだよ?発情して裸でバスルームに忍び込んできたってわけか?」 意地悪く鼻で笑う。 よく知っている兄の顔。 「違うよ。そんなワケじゃない」 今度は見上げるようにして直に目を合わせ僕は首を横に振った。 「だったら何だ?何が欲しい?」 あくまで冷淡に歪む唇。 大きな手に僕は指を絡める。 「朝起きたら、あの霊媒師の言う通り、除霊が成功していたみたいなの」 「それで?」 征司は諦めて僕に身を任せることにしたようだった。 「それでね、僕は真っ先に征司の所へ来たんだ」 絡めた指を口元に誘い僕は唇に触れさせる。 「それをどう解釈しろと?」 指先からだって感じる――。 明らかに征司の鼓動が早まった。 「分かんないの……それは僕にも……だけど」 言うと赤く熟れた果実に穴をあけるように 僕はそっと征司の人差し指を口内に招き入れた。 歯先を当てないよう優しく吸って 2度3度——抜き差しする。 「僕、前よりずっと素直になったみたいなの」 鏡に映る僕の顔には恍惚とした赤みが差した。
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