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サロメを見るヘロデ王のように
征司の瞳には淫靡なものへの憧れと畏怖が同時に浮かぶ。
そのもっと奥を見つめて
僕はバスルームの床に膝をついた。
「正直に言うよ。僕が迷わないくらい愛してよ」
ドクン。
心臓が激しく脈打つ。
「たとえ僕が他の人を愛していてもさ――征司、あなたは僕をもっと夢中で愛してくれなくちゃイヤ」
跪きながらもなぜか
言いようのない優越感が爪先から脳天まで駆け抜けた。
「和樹……おまえっ……」
もちろん王様にも言い分はあっただろう。
だけど僕は文字通り有無を言わせなかった。
つまり——誘惑の手を緩めなかったんだ。
「アッ……!」
唐突に征司の中心を捉えると
先刻人差し指にしたのと同じことをしてやる。
もっとも——もっと激しくだ。
肩からバスタオルが滑り落ちる。
征司はかろうじて洗面台に手をついて己の身体を支えた。
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