episode253 挑発

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征司の抵抗がなくなった頃には反対に とてつもない欲望がこちらに流れ込んでくるのを感じた。 「おいっ……もういい……立てよ……」 自分が絶頂を迎えるより先に 征司は僕を支配したくてたまらないみたいだ。 「ダメ……今日はこれだけ」 「何……?」 でも僕は許さなかった。 はなから身体に触れさせる気はなかったんだ。 「あなたがもっと本気になるまで……僕の身体はお預けだよ」 これは新しく目覚めた僕の まだ始まったばかりの駆け引きだった。 「俺を挑発すんのか?」 征司は僕の髪を掴み上げる。 「まあね――」 無理に押し倒すことだってできた。 だけど征司は馬鹿じゃない。 一周僕の頭を撫でまわし溜息を吐くと言った。 「なら続けろ――」 ゲームを続けろ。 僕の耳にはそう聞こえた。 そうして熱い欲望を飲み込むと僕は部屋を出た。 次に会うべき人は決まっていた。
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