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突然そんなこと言われても――。
「迷惑な話だ」
僕は鼻で笑うしかなかった。
生きている時間の半分も一緒にいなかった母。
生きてる間は僕が疎ましく目の敵にした父。
「あの人たち、あの世に行ってからまで僕を振り回すつもり?」
はっきり言ってしまえば僕の出生自体
この家にとってはトラブルの始まりだった。
「ねえ、霊能者さん。あなた父や母と話せるなら話して下さらない?」
死んだのならいい加減にくたばれと——下品な言葉は飲み込んで。
「僕みたいなのに何も期待しないでくれと。2人に仰って」
「名案ね」
キラの代わりに答えたのは貴恵だった。
「うーん、それはどうかな」
当の霊能者は難しい顔をして。
「だってあなたがこの家を出て困るのは——実際亡霊だけではないでしょう」
今度は征司と九条さんをチラリ見やって言った。
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