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「けれどそれは邪念ではないよね?」
静かに口を開いたのは九条さんだった。
「和樹にこの家にいて欲しいという想いは邪念ではないはずだ」
僕は思わず征司を見やる。
もちろん征司は他人事のように聞いているだけで
気の利いたことなど何も言わない。
「それでもとにかく、家で今起こっている怪現象はその子が原因なのよね?」
美しい夫に真っ向から反対するように
冷たく吐き捨てたのは貴恵だ。
「ついでに言うとそこの巻き毛の弟が狂ってしまったのも、やっぱりその子の所為だわ」
「俺は狂っちゃいない!」
すかさず薫は反論した。
顔色は悪いけれど有能な霊能者がここにいるからか——、
夕べよりずっと調子は良さそうだ。
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