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思い当たる節が——ないとは言えまい。
「皆さんがよろしければ先に彼と話をさせて頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「2人で?」
キラの言い分に九条さんが眉尻を上げる。
「いえ、和樹さんがいいなら一緒に聞いていて頂いて大丈夫ですよ」
彼の言わんとしたことまで察して悪戯にキラは笑った。
「ただ彼のプライバシーもありますからね」
丸裸にされるというのはあながち嘘じゃなさそうだ。
「俺は遠慮する。あの男の霊が鎮まるならこいつの話なんてどうでもいい」
身も蓋もない言い方をして立ち上がったのは薫だ。
「私も聞きたくないわね。どうせ生々しい下卑た話でしょう」
目の前の埃を払うような仕草をして貴恵が後に続く。
「それではお2人は和樹さんの話が終わり次第またお呼びするとして――」
キラはこうなるのが分かっていたように
笑顔で征司と九条さんを交互に見つめた。
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