私が主役

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
客席は真っ暗になった。ガヤガヤしていた音がシンと静まり返る。 第一のベルが鳴った。 明るいステージの真ん中に私はペタンと座り込んでいる。 この瞬間がたまらなく好きだ。 私だけの空間、私だけの時間。 視界の隅で何かが動いている。目障りだなぁ。 邪魔するなよモブ共。 主役は私なんだから。 ステージ上の照明が消えた。 そして1つのスポットライトが私を照らす。 私は天井に目を向けた。 あれ、シャンデリアこんなに…近かったっけ? 大きな音がした。悲鳴が聞こえる。 第二のベルが鳴り緞帳が上がった。 観客の目が私に注目しているのだろう。 私は仰向けに倒れていてわからない。ただ、シャンデリアだけが見える。 あれ、照明が赤に変わった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!