27人が本棚に入れています
本棚に追加
半身翻して、声の方を見ると……。
そこには──。
「お、オバケ!?」
「えっ!? オバケ!? どこ? オバケどこ!」
僕がオバケだと思った“それ”は自分がそう言われたとも思わずに、辺りを見回している。
頭からつま先まで、真っ白になりながら──。
「オバケ嫌! オバケ!」
半ばパニック状態になった“それ”は、思わず、といった感じで僕に向かって駆けだしてきた。
「え!? ええええ!?」
それに恐怖したのか、それともただ汚れる、と思ったのか──。
僕は、それを反射的にひょいっと避けてしまった。
僕の隣でそれはどしゃっと派手に転び、灰の粉をぶわっと巻き上げた。
「うぅ~」
「ご、ごめん……」
うつ伏せに寝転んだそれを助け起こそうと、僕は手を伸ばした。
それは、どこかで見たような制服に身を包んだ女の子だった。
掴んだ手はとても華奢で頼りなくて、引き上げたら反動で飛んでいってしまいそうで。
「君は──」
「嫌ぁ! オバケ嫌ぁ!」
「オバケなんていないから! それより君は──」
「え? オバケいないの?」
「いない……」
「──あーっ!」
「今度は何!?」
「私……真っ白……」
「あ、それは……」
僕の投げたゴミのせいだと、肩をギクリと震わす。
「どうしよ……ママに怒られちゃう」
「ママ……?」
言うなり少女は、暗がりでもわかるくらいはっきりと目に涙を溜めて、すぐに大泣きを始めた。
最初のコメントを投稿しよう!