赤い皮

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 ──二人が“変わった”のは、小学校高学年になってクラスが離れ離れになってからだった。  新しいクラスには友達がいない。このままではずっとひとりぼっちだ。  だから虚勢を張って高らかに声をあげ、そうすることで“自分についてくる者”が現れるようになった。  それが新たな仲間の誕生──徒党を結成する足掛かりとなった。  例えば、好きな音楽、好きなドラマ、好きなアイドル。家庭環境、生活のリズム、興味のある部活動。  成長するにつれ、自己形成の上で生き方を分かつ事となった二人。  それぞれに与する徒党はやがて、派閥となる。  中学に上がり、二人が再び同じクラスになっても、それは混ざり合うことがなかった。  言うなれば、淡水魚と海水魚──水の異なる生き物が共存しないように、二人は決して入り混じることがなかったのである。
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