12時30分、決断のとき

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「……あんた変わったわね。昔はオドオドして、私に金魚のフンみたいにまとわりついてたくせに」 「あんたこそ。昔は泣き虫でしょんべん垂れだったくせに、随分と偉くなったものね」  同じように唇の端を吊り上げて笑うリーダーは、一層乱暴にボールをバウンドさせる。  そして、リーダーがそれをパシッと両手で掴んだ瞬間──。 「これは戦争よ!!」  二人の声が揃い、校庭にこだました。 「いい!? 勝った方が問答無用で、クラスの水槽で飼いたいものを飼う!」 「異議無し!」  拳銃の代わりにボールを! しかもソフトな、当たっても痛くないヤツ! 「ついに始まりそうだぜ……お嬢vsリーダーの対決が……!」 「こいつは見物だぜ……。いがみ合ってた二人に、ついに白黒がつくのか!?」 「俺はお嬢を推すぜ……。腕っぷしは確かだからな」 「俺はリーダーに賭けるぜ! 運動神経ならリーダーの方が一枚上手だぜ!」  ざわつくギャラリー! および外野から見守るモブ男子たち!  くらげ派対メダカ派! ひいてはお嬢対リーダーの因縁の対決!  ついに、その戦いの火蓋が切られようとした──  その時だった──。 「やめーーーーーい、二人とも!!」  ゴチンッ! 「おぶっ!」 「ぶほっ!」  かつてない衝撃が、怒声とともに二人の脳天に降ってきた。  それは、お嬢とリーダー、対峙する二人の頭に先生が両手で繰り出した拳骨だった。
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