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「お前ら二人とも、くらげが好きなんだろ? 由良は大好きなくらげを傍に置きたい一心で、莉羅は大好きなくらげを守りたい一心で。どっちも愛情なんだ。好きだからこそ湧く、どちらも当たり前の感情だ」
「……………」
「……………」
二人は口を噤んで、思い出していた。
水族館の遠足の日のことを。
──ゆらちゃん、見て見て、くらげさんきれいね──
──ホントね、りらちゃん。白くてきれいね──
班のメンバーに馴染めなかった二人。仲間に入れてもらえなかった二人。
珍しい名前を笑われ、「♪ゆらゆらりらりら、ゆらりらら~」と変な歌まで歌われからかわれた、似た者同士の二人。
友達のいない者同士は、すぐに双子の姉妹のように仲良くなった。
特に動物を見るのが好きで、放課後にはよく二人で飼育小屋に行ってウサギを眺めたりもした。
後にお嬢となる由良は、後にリーダーとなる莉羅の手を引っ張って連れ回していた。当時、莉羅はおどおどした甘えん坊だった。
この日も班から抜け出した二人は、手を繋いでくらげの水槽まで走り、ガラスに張り付いてうっとりと見とれていた。
──りらちゃん、くらげさんはいいわね、班とかないから──
──いいわね、ゆらちゃん。ゆらゆら自由で楽しそう──
エメラルドブルーの宝石のような色彩の中を自由に揺らめいているくらげを、二人は目を輝かせていつまでも見ていたのだ。
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