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終業式の日は、お昼もなく下校となったのでそれらしい会話もなく、またね、と言って別れた。
「……友達、以下なんじゃないかな。」
僕は、長谷川くんと夏休みに会えないことを少し残念に思っていた。
あの日誌を書いた放課後に、連絡先を交換したけれど、長谷川くんから連絡が来ることもなく、メッセージは、__これからよろしくね。で終わっている。
「はぁ。」
僕は、彼をどう思っているんだろうか。
お試しでいい、と言われたまま、僕はなにもしないまま長谷川くんから”終わり”と言われたら、”わかった”と言って離れられるんだろうか。
「うーーーーん」
でも僕は長谷川くんに対して、長谷川くんが僕に持ってくれている感情を持つことができるんだろうか。
「なぁ、小野!お前彼女とかいないの?」
そう声を掛けられ、はっとした。
そうだった、今日は中学校の頃からの友達に誘われて、遊びに来ているんだった。
腹ごしらえをしたあと、”俺、彼女に振られたんだ”という友人の一言で慰め会という名のカラオケに来ている。
ひとしきり、失恋の曲を歌い終わったらしく、今は雑談の時間になっている。
「あぁ、いないよ。」
「そうか~好きなやつもいないの?」
「うん、いまいちそういうの、分からなくて。」
「山本君は、いるの?」
「あ~ん~どうなんだろうな?」
「おい!お前ら、この俺が教えてやるよ!あのな、できるか、できないか!だよ!」
うるせぇよ、桑野!と山本君は言っていたけど、僕は想像してしまった。
(大丈夫、かも……?)
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