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本当のキモチ
長谷川くんは開口一番、こう言った。
「……ごめん。」
「(どの部分の謝罪なんだろう……)」
「俺さ、……恋愛対象が女の子じゃないんだ。で、颯真を好きになって、お試しでいいからって強引に、付き合うみたいなこといった。」
「……うん」
「……だから、今日、女の子と一緒にいるところをみて、焦りまして、その……連れ去りました。ごめんなさい。」
話してる間、目が合うことは一切なくずっと長谷川くんは大きな体を小さくして両膝を立て自分の足の先を見ていた。
そんないつもとは違う彼を見ると、好意を寄せられているのは現実なんだなと、実感する。
「あれは、偶然で、同じく中学で同じクラスだった子、で、委員会が同じで、久しぶりだねっていう話を……」
「うあぁぁぁぁ~……」
長谷川くんは前髪をくしゃっとして、立てた足の両膝の間に頭をすっぽり入れて、恥ずかしそうな声をだした。
「(かわいいなぁ。)……ぼ、僕、今日色々考えてたんだけど、長谷川くんのこと、とても気になってます。終業式の日、全然話せないこととか。夏休みに会う約束をしてくれないなとか……うお?!」
長谷川くんはいつの間にか僕の横にいて、僕は抱きしめられていた。
「うれしい。」
ぼそっと長谷川くんはつぶやいて、僕を強く抱きしめた。
僕は、戸惑いもあったけれど、全然嫌じゃなくて、寧ろ、安心するような感覚があった。
「ね、長谷川くん、夏休みも、会ってくれる?」
「うん、当たり前。」
長谷川くんは、ほんのり赤い顔をして、満面の笑みを浮かべていた。
(えくぼ、かわいいな。)
そして、長谷川くんは顔を近づけて、ちゅっと僕にキスをした。
僕は恥ずかしくて下を向いていたけど、長谷川くんはもっかい、しよ?と妖艶な顔で何度も何度も、僕にキスをした。
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