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その日は日直だった。
このクラスの日直は少しだけ早く学校へ行き担任のところまで日誌を取りに行かなければならない。
いつも長谷川くんは遅刻ギリギリで登校するから、僕が少し早く学校へ行って一人で日誌を取りに行こうと前の日から思っていた。
いつもより5分早めに学校に着き、靴を履き替えようと下駄箱についたときだった。
「颯真、おはよ」
なんとそこには、長谷川くんがもう既に居たのだ。しかも顔を覗き込んでくるもんだから顔が近くて、思わず少し離れた。
「おは、よ?長谷川くん、な、なんで……」
「えー?だって日直でしょ?」
いや、まあそう言われればそうなんだが、そうじゃない……!!
「は、長谷川くんはいつももっとゆっくりくるでしょう?」
まさか遅刻ギリギリに、なんてことは言えずに言葉を濁す。
「……迷惑だった?」
その言葉に驚いて、思わず長谷川くんの方を見た。目が合うとほんの少しびっくりしたように目を見開いたけどすぐその顔には暗い影を落とした。そんな長谷川くんにびっくりして僕は慌てて言葉を返す。
「そんなっ!でも、来るとは思ってなかった……というか……」
「んー颯真と、だからじゃん?」
悪戯っ子のようなニヤッとした笑みを浮かべて、少しだけ足早になった長谷川くんに頭が混乱して全然、ついていけなかった。
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