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なんで、長谷川くんはお試しとか、す、好きだなんて言ったんだろうか。
僕なんて地味で特別面白くもないし、かっこよくもきれいでもないのに。
そんなことはお構いなしで、あの日から長谷川くんはなにかと、僕の近くにいる。
「ねぇ、颯真、それちょうだい。」
いつもお昼は教室で食べている長谷川くんなのに、学食をしかも僕の隣で食べている。
そして今は、僕の大好きなラーメンを横取りしている。
「は、長谷川くん、チャーシューは食べたらだめだよ?」
「ふふ、うん。嫌いなメンマ食べてあげるね?」
最初は緊張していたが、最近は慣れてきた。
あの時以来、長谷川くんは僕に触れようとしてこない。
「そろそろ夏休みだね?颯真はどこかいくの?」
「ううん、家族も忙しいみたいだし、なにも。
あ、でも夏期講習受けようかなって思ってるよ。」
「へぇ~。」
長谷川くんは、器用にメンマだけを食べていく。
「長谷川くんは、どこかいくの?」
「特に予定ないかなー。あ、友達が短期でバイトするらしいから、それ行こうかなって思ってる。」
「そ、そうなんだ。」
_____夏休みまで、あと一週間。
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