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決意
「ふわ……」
欠伸が零れる午前十時。
俺は資料の作成を終えて、次の仕事を探していた。いつもなら風見先輩という頼もしい先輩の補佐を行っているけど、与えられた分の仕事を終えてしまった。先輩は「ありがとう。今は何も無いから休んでて良いよ」と言っていたけど、何か作業をしないと落ち着かない。
……そうだ。こんな時こそ新堂さんだ。
俺は鞄を取って席を立つ。
「新堂さんのお使いに行ってきます!」
「ああ、そうか。無理しないようにな」
先輩に声を掛けてから廊下に出る。目指すは一階にあるコンビニ。この会社のビルと繋がっているから便利だ。その分、よく混むけど。今日は俺がお昼を買うって約束だったから、お昼前のこの時間に行っておこう。今なら売り切れる心配もしなくていいし。
エレベーターで下まで降りて、コンビニに入った。カゴを取ってサンドウィッチのコーナーまで進む。
「ええっと、タマゴサンド……あった!」
具がたっぷりのタマゴサンドを手に取って、ついでに隣のカツサンドもカゴに入れる。フルーツサンドもあったから、これも。これは、俺の分。
それから、お茶とコーヒーのペットボトルをカゴに入れてレジに向かった。いつものおばちゃんがレジの係だった。
「あら? 今日はいっぱい食べるのね?」
「ううん。これは人の分もあるから」
「まあ、使いっぱしり? 可哀そうに」
「そんなんじゃ無いよ……」
苦笑してビニール袋を受け取る。会計を済ませてコンビニを出ると、時刻はまだ十時半だった。
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