手を差し伸べて欲しかった

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「行ってきます」 笑顔でそう言う兄さんが、どこへ行って何をしているのかは知らない。 「うん!」 それでも、俺は笑顔で返事をし、兄さんの言いつけ通り決してこの部屋から出ずにすぐ眠りにつく。 こんなに綺麗な兄さんが、出かけていく場所が綺麗でないはずがないから。 いつか大きくなったら俺も連れて行ってもらうんだ。 その為にも兄さんの隣に立つにふさわしくなければならない。 今日は、いつもより寝つきが悪い。
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