手を差し伸べて欲しかった

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兄さんはいつもキラキラしていた。 俺はそんな兄さんの身支度を手伝うのが好きだった。 憂いを帯びた瞳と同じ紅色の着物の袖を兄さんに通し、艶やかな長い黒髪を結い上げると、兄さんは俺の頭を優しく撫でて微笑む。本来なら、髪を結うのは髪結いの仕事だが、無理を言ってやりかたを教えてもらって以来、俺の仕事となった。 月の光に透かすと、黒の中に薄っすらと紫がかっているのがわかる。
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